ゴボゴボと空気を吸い込む吸気音がたまらないSOLEXを解析
キャブレターとはどのようなものでしょうか?
キャブレターとはエンジンへ燃料を供給する装置で、燃料と空気を混合させる装置です。現代の車やオートバイの内燃機関(エンジン)の燃料供給装置の多くはコンピューター制御をされたものが多くなっています。
コンピューター制御された燃料供給装置はインジェクターという燃料噴射装置を装備してインジェクターの噴射する燃料の量をコンピューターが通電時間(吸入空気量、流速、流量、エンジン回転数などの情報から)を計算して最適な※1理論空燃比になるように制御していきます。
※1理論空燃比とは最も効率よく燃料を燃焼させるためには空気14.7gに対して燃料1gの混合比が良いとされています。
そこへ、エンジンが冷えている(水温センサー)や加速したり減速したり(DBWやスロットルポジションセンサーやMAPセンサー)という情報を電圧に置き換えてコンピューターに送り、コンピューターは各センサーからの情報を基に車両やドライバーがどのような状態か※2を電圧に置き換え制御しているので、ドライバーは何も考えずアクセルを踏むだけで快適な運転ができるようになっています。
※2例えばスロットルポジションセンサーが全閉で電圧が0V付近とします、ドライバーはアクセルを離していると仮説します、その時車速が増加していくと下り坂を下っているとコンピューターは判断して、フューエルカットを行います、というように多くの情報をいくつかのセンサーの情報から電圧に置き換えて車両の状態を仮説を立てて制御していきます。
旧車などでよく聞くsolexとはキャブレターメーカーの一つです
ソレタコデュアルなんて良く言ってました
SOLEX(ソレックス)はよくWEBER(ウェーバー※イタリア製)と比較されます
フランスのメーカーであるソレックス社が製造しており、1950年代から1970年代にかけて多くの車両に搭載されました
。ソレックスキャブレター(Solex Carburetor)は、主に自動車やオートバイのエンジンに使用されるキャブレターの一種です。
特にアイドリングや低回転域でのレスポンスが良いとされ(こちらは後程解説します)、エンジンの特性や気候、湿度、気圧などで変化する条件に合わせてメインジェット、スロージェットなどセッティングができ、昔ながらの職人のカンと経験が必要となるところですね。
スポーツキャブレターだけではなく、普通の市販車にも使用されていました、ちなみに私が昔乗っていた 2ストのアルトやフェローマックスなどもミクニソレックスが装着されていました。
スポーツキャブレターの代表格の2機種のウェバーとの違いは
ソレックスキャブレターとウェーバーキャブレター(Weber Carburetor)は、どちらも自動車やオートバイに使用されるキャブレターです
1. 設計と構造:ウェーバーキャブレター
– ウェーバー: 多くのモデルがトリプルバレルやダブルバレルの設計を採用しており、パフォーマンスを重視した設計が特徴です。
2. 性能特性:
– ウェーバー: 高回転域でのパフォーマンスが優れており、スポーツカーやレースカーに多く使用されます。エンジンのパワーを最大限に引き出すための調整が可能です。
3. 調整の柔軟性:
– ウェーバー: より多くの調整オプションがあり、特にパフォーマンスを追求する場合には、細かいセッティングが可能です。ただし、調整には専門的な知識が必要な場合があります。
SOLEXの構造です(ウェバーはあまり触れあった事がないので)
ソレックスキャブレターの構造は、一般的に以下の主要な部品から成り立っています。これにより、空気と燃料を適切に混合し、エンジンに供給する役割を果たします。
1. ボディ: キャブレターの主要な部分で、空気と燃料が通過する通路が設けられています。ボディは通常、アルミニウムや鋳鉄で作られています。
2. スロットルバルブ:アクセルと連動して エンジンの負荷に応じて開閉し、空気の流入量を調整します。スロットルバルブの開度によって、空気の吸入量が変わります。
3. ジェット: 燃料を供給するための穴で、燃料の流量を調整します。ソレックスキャブレターには、主にメインジェット、アイドルジェット、エアジェットなどがあり、それぞれ異なる回転域での燃料供給を担当します。
4. フロートチャンバー: 燃料を貯蔵する部分で、フロートが浮かんで燃料のレベルを調整します。フロートが下がると燃料が供給され、上がると供給が止まります。
5. フロート: フロートチャンバー内に浮かぶ部品で、燃料のレベルを感知し、燃料供給を制御します。
6. ミキシングチャンバー: 空気と燃料が混合される部分で、スロットルバルブの後に位置しています。ここで適切な混合比が形成され、エンジンに供給されます。
7. アイドルスクリュー: アイドリングの調整を行います
燃料の流れやキャブレターの作動を図解していきます
フューエルポンプからキャブへ燃料が送られてきます
≪燃料供給≫ポンプからの燃料は一番上の黄色い矢印から入ってきます。図で1・2・3の部分がネジであったりウィングナットなどで何型などの目安になります(直ぐにメインジェットの交換ができるようにウィングナット(蝶ネジ)の物もあります。
ニードルバルブを通りフロート室へ燃料を送ります、フロート室に燃料が溜まるとフロートが浮き上がり青⇔ニードルバルブを閉じて燃料を遮断する仕組みです。
フロート室に燃料が補充されます
≪フロート室≫ 送られてきた燃料を溜めておくところです、フロートは調整ができるのですが高いとかぶり(燃料が濃く)低いとパワーが出なくなり、では中間でとなりますが、車はじっとしていません、コーナーリング中や加速減速時には車両は傾きます、するとフロートも当然レベルが変わります、そこで昔は職人がいたのです。レースや峠、ジムカーナと仕様によってセッティングを変更する、この辺りがソレックスをいかに使い切って最大限のパワーを出していくかの一つになります。
メインジェットと通って燃料が燃焼室へ吸い出されていきます
≪メインジェット≫メインジェットは中速~高速域の燃料と空気を混合させて燃焼室へ送り出すための部品です、アクセルを踏むとスロットルバルブが開き吸い込む空気の流速が上がります、フロート室に溜まった燃料を吸い上げて燃焼室へと送ります(ピトー管現象)メインジェットにはサイズがあり組み合わせにより、乗り方や気象条件などに合わせたセッティングをだしていきます。地道な作業になります。
アイドリングの状態
アイドリング状態はスロットルバルブの開度をスロットルアジャストスクリューで調整します(現代の車は全閉状態でEACVなどで空気をバイパスさせて電磁バルブで調整をしています)その開度に応じて吸い込まれる空気の流速が変わり図の85番アイドルアジャストスクリューの開度に応じて燃料が吸い出されます。
加速時
加速時に燃料を増加させる為の加速ジェットです、急激にアクセルを開けるとマニホールド内の気圧の変化が生じその際ダイヤフラムを介して燃料を噴射して混合気を濃くして加速時の燃料増量をします。
※キャブ車は始動前にアクセルを2~3回踏んでから始動すなどと聞きますが、この加速ポンプから燃料を出して燃焼室内で濃い混合気を作るための動作です。
SOLEXとWEBERの違いはここにある
私が思うに、ソレックスとウェバーの一番の違いはココだと思います。このポートです、上の青丸はスローポートですアイドリング~踏み始めに作用します、次に黄色い枠に4つのポートがあります、スロットルバルブはスローポートと4つのポートの間にあります、すなわちアクセルを踏んでいくと燃料のポートが1~2~4つと増えていきます、低速から中間速で燃料がスムースに出る構造です、これがソレックスは街乗りもできる仕組みかと思います。ウェバーにはこのポートが無く扱いが難しくなるところです。
SOLEXやスポーツキャブレターの乗り方
従って、キャブ車を乗りこなすには、この原理を頭の中で考えて、気温や湿度、標高(気圧)また今スロットルバルブがどの位置にあり、どこのジェットやポートが作用しているかなど考えながらしっかりと燃焼を効率よくさせるアクセル操作をしていくと、楽しくまたインジェクションにはないダイレクトなレスポンスが味わえキャブの虜になると思います😀
※こつはガバッとアクセルを踏まない事です、アクセルの最後の人一踏みはパワーバンドに入ってからです、すうるとしっかりとエンジンが回ってくれと思います。
私もセリカリフトバック(TA27)に乗り始めは(1985年頃)はどうして高回転が早く頭打ちがくるのだろう・・・とか、雨の日にパンパンバックファイヤーを起こしたり、峠の標高が高いところでパワーが出なかったり・・・と乗り方を色々と考えてました。
◇今回はそのような私の経験からのお話でした、間違っている所も多々あるかとは思いますが、キャブレターは楽しいという事です😁